昔飼っていたミクという白猫との実話

初めてブログと言うものを書くにあたって何を書こうか悩みました。
面白いことを書きたいなと思ったけど思い浮かばん。
そんな時にボスの化け猫カフェのツイートを見て思い出したことがあったので僕と昔飼っていた猫のミクの事を少し書こうと思います。
昔飼っていたミクという白猫との実話。
あれは、小学校3年生の夏の初め頃だったと思う。
学校が終わって友達と遊んだ後、当時野球をやっていたこともあって庭で素振を毎日することが父との約束でもあった。
初めてバットを買ってくれたことが嬉しくてブサイクなスイングで暗くなるまで練習をしていた。
日も落ちて、そろそろ家へ入ろうとした時、ニャーという鳴き声が聞こえたような気がするようなしないような。
探してみると近くの畑の茂みで一匹で鳴いている真っ白な子猫を見つけた。
その子猫は震えていて小3の自分でも弱っていることがわかる。
飼い主に捨てらたのか、親とはぐれたのかはわからない。
すぐに家に連れて行ってタオルに包みミルクをあげた。
なかなか飲んでくれず苦戦はしたが、どうにか飲んでくれて少しずつ元気になっているような気がして少し安心した。
猫を触ること自体が初めてだったので嬉しさもあった。
ただ、子供ながらこの命を守らないといけないという気持ちがあったし親がもういいよと言っても絶対離さなかったし、まだ小さかった弟には絶対触らせなかった。
その夜は子猫が寝ても心配だったのでずっと起きていて、今思えばオールをしたのがあの時初めてだった。
そんな中一つ不安な事があった。
当時の我が家は借家で当然猫を飼うことができない。
親が横でそんな話をしているのも聞こえていたし、それまでも犬や猫を飼いたいと言っても飼えないと聞かされていただけに家に猫を連れて入った段階で無理かもしれないなという気持ちは多少あった。
ただ、初めて自分の手で拾ったこの子猫の体温や震えを感じるとまたこの子を1人にする事がどうしてもできなかったし必死の思いで親にお願いをした。
親も悩んではいたものの、最終的には飼えることとなった。
それの猫の名前がミク。
初めてあげたミルクをいっぱい飲んでくれたからミルクからルをとってミク。
子供が考える簡単な名前がこの子猫の名前になった。
それからは毎日一緒に遊んだ。
弟と一緒になっていろんな遊びをミクとしてミクも家族みんなに懐いてくれた。
自分が助けたと言う気持ちがあったからなのかどうかはわからないが子供ながらミクの親みたいな気持ちで接していた。
大家のおばさんが不定期で家に来るのでその時にバレないかだけが心配だったがそれもなんとか毎回兄弟連携で上手く乗り越えてきた。
それからちょうど2年ほど経った頃。僕は小学5年生。
ミクも成長して体の大きさも見つけた時に比べれば何倍にもなっていた。
ミクは夕方の決まった時間になると玄関前で鳴き出す。
外に出してくれという意味で家の中だけで縛っておくのも悪いと思ってたし、田舎だから不安もなかったのでいつも出たい時には外に出していた。
それでも毎日夜になると帰ってきてエサを食べて一緒に寝る。そんな毎日を送っていた。
ある日の朝、パートをしていた母と僕たち兄弟はいつも通り一緒に家を出てそれぞれ職場、学校に向かうのだが玄関を開けると珍しくミクも勢いよく外に出て行った。
いつもその時間、ミクは外に出ないし珍しいなぁと思っていると庭の松の木の上に登ってしまった。何度呼んでも降りてこず、朝でみんな時間がなかったこともあるし今日は外で居たいのかななんて話していた。
以前も松の木に登ることは良くあったし、自分で降りられるのでそこまで心配せずにそのまま家を出ることにした。
ただ、これが一生後悔する結果となった。
その日の昼休み、いつものサッカーをして遊んでいたのだが運悪くジャンケンで負けてキーパーをすることになった。
1組対2組。
運動出来る子が多かったのもあって遊びではなく本気のサッカー。
嫌いなあいつがいた1組に昨日負けていたので絶対負けたくなかったその日は慣れないキーパーも真剣にやっていた。
そんな時、嫌いなあいつが打ったシュートがゴールポストギリギリに決まりそうになった。
昼休みも終盤。これが決まるとまずい。
ダッシュからの横っ飛びで止めに行くとキーパーなんて慣れていないことをやっているので位置が判っていなく右の側頭部を思い切りゴールポストに激突した。
ただ、痛みというのが全くなく気づけばゴールされて転がっているボールに悔しさしか感じていなかった。
全く痛くない頭。でもみんながみんなが集まってきて僕を心配している。
何にそこまでみんなが集まってきているのかが不思議だったが、どうやら自分では気づいていないだけで何秒か気を失っていたらしい。
聞いた時は怖かったし、自分でもあの勢いで激突して全く痛くないのも変には思っていたが話が先生に伝わって病院へ行けとなるのが嫌だったのでそのまま放っておいた。
その日は5時間授業。後一時間で下校できる。
いつもはそのまま運動場でみんなとサッカーするか、友達の家に遊びに行くかで家にそのまま帰ることは、ほぼなかった。
ただ、その日の5時間目の途中、何故か無性にミクに会いたい気持ちが湧いてきた。
はっきり言い表せないけど遊びたいとか触りたいとかじゃなくてとにかくこの目で今すぐ見たいという不思議な気持ちだった。
約束していたケイゴの家に遊びに行く事の断りもしないまま学校が終わるとすぐに出て走って家に帰った。
2.3キロあったのかなぁ。それでも一回も休むことなく走って帰ったのは覚えている。
家に帰ると母の車がいつも決まったところに駐車しているはずの車が庭のど真ん中に変な方向を向いて停まっている。
おかしいなと思いながらも玄関に行くと母が泣いていた。
母の目の前には背の低い段ボールの箱が置いていてその中にミクが硬くなって横たわっていた。
そして、頭の右側から血が流れている。
この頭の右側からの血を見た時にサッカーで激突した頭が全く痛くなかった事、午後から無性にミクに会いたくなった事の意味にすぐ気づいた。
僕のせいだ
もしかしたら身代わりになってくれていたのかという事が頭をよぎった。
悲しみも当然あったが、それよりこの気持ちの方が強く心臓が重くなるような、まだ感じたことの無かった感情に泣く事しかできなかった。
聞くと、母が仕事から帰ってきたときに玄関前で倒れていたのだという。
車に轢かれたのか、木から落ちて頭を打ったのかどのようにして亡くなったのかはわからないが、体は綺麗で見た限り頭から血を流しているところ以外は怪我は確認できなかった。
だとしても玄関前でこんな怪我をすることはないし、玄関前で倒れていたとなるとこれだけの怪我をしてもここまで歩いて帰ってきてたんだと思うと最後はみんなに会いたかったのかなとも思える。
それを考えるとまた泣いた。
それから少し落ち着いてミクと出会った頃と同じ、日が沈みかけた頃に花やいつも遊んでいたものと一緒に、お婆ちゃんの家の庭に家族全員で埋めてお墓を作った。
死というものを初めて実感したのがこの時で、この土をかけるともうどれだけ願っても一生会うことが出来ないということがわかると苦しかった。
母にその日の1日のことを全て話すと、朝からいつもと違うかったしミクはわかってて身代わりになってくれたんかもねと言っていた。
自分でも信じたくなかったけど、もしかするとそうなのかもと思っていただけに、実際に言われると罪悪感で押し潰されそうになった。
ただ、ミクの分もこれからしっかり生きていかんといかんでと言われると泣いてばかりではダメだと気付かされた。
もしかすると本当に身代わりになってくれたのかもしれないし、全部たまたまだったかもしれない。
でも少なくとも僕だけはミクのことを忘れないで、ミクが生かしてくれた人生だと思ってこれからも一生懸命恥ずかしくない生き方をしていくつもりです。
動物を飼っている方がいたら今日はいつもより愛情を注いでみてあげてください。
もしかしたら動物はちゃんと愛情を理解しているかもしれないよという事が伝われば嬉しいです。